サラダ野菜の植物史 新潮選書

サラダ野菜の植物史 新潮選書
大場 秀章
サラダ野菜の植物史 新潮選書
定価: ¥ 1,155
販売価格: ¥ 1,155
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発売日: 2004-05-14
発売元: 新潮社
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サラダ野菜についての博物史
 さまざまなサラダ野菜が、野菜別に説明されている.目次に名が挙がっているだけでも35種類あり、キク科、セリ科、アブラナ科、ウリ科、ユリ科、ナス科などと植物分類されている.植物史とあるように、各野菜の伝来や利用の変遷が描かれている.タマネギがミイラ作成時の詰め物にされたとか、キュウリをカボチャに接ぐと粉のないブルムレス型になるとか、セロリが古くから岡山城内で栽培されていたとか、エピソードも豊富である.200頁余りの本に多くの野菜の話が詰め込まれているので、もう少し詳しく知りたいと思う記事も少なくない.しかし、巻末の文献の記載が丁寧でないために記事をそれ以上追いかけることが難しい.どうして日本では文献に頁数を割かないのだろうか.きちんとした文献引用は一般書といえども欠いてはならないと思う.それとサラダ料理とのつながりや、野菜にはとくに重要な栽培型や品種の話が少ないのが残念である.栽培植物の起源を説くのに、ド・カンドルやヴァヴィロフだけを定説のように挙げているのは、一般向きの本であっても問題である.

質の高いサラダ論をゆっくり読もう
帯には、「えっ! トマトは200年間も観賞用だった!?」という大げさな宣伝文句が踊る。それを見て、本書を最近流行のトリビア・マニアのための本だと思ったら大間違いである。それをいうなら、「世界一受けたい授業」のひとつとでも言ったほうが当たっている。現在、東京大学総合研究博物館教授の著者による一流の「サラダ史学」というところか。「食文化は一種の芸術」といってはばからない著者の語り口は、紛れもなく専門である植物分類学のそれである。しかしながら、サラダ歴が約50年といったところの日本人にとっては想像もつかないような、色とりどりに鮮やかなヨーロッパのサラダの食卓の風景を、自然史から説き起こし、分類学者らしくバサっと潔く斬り取って見せてくれる。キク科のサラダ植物、セリ科の・・・、アブラナ科の・・・、ウリ科の・・・といった風に。バラエティ風のトリビアに飽きた聡明な諸氏にはぜひ教養を深める一冊としてお薦めできる。


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